裁縫

　仕事用に半袖のシャツを四着買った。統一性を持たせたいのと楽なのとで、同じブランドの同じデザインのものを買った。よく買うブランドだから、試着もせずにネット通販で即決した。

　いざ着てみると、サイズもぴったりだし、洗濯しても皺にならないしで、良かった。でも三回か四回洗ったタイミングで、ボタンが一つ取れてしまった。ああやっぱりな、と思った。そのブランドのシャツには、華奢で不安定なボタンがとても多い。そういうデザインだからだろう。

　取れてしまったボタンを手のひらで転がしながら、洗濯したての他のシャツも点検してみた。案の定、断崖で辛うじて踏ん張っているボタンを二つ見つけた。指先で少し触れただけで簡単に糸が抜けた。そのままにしておくわけにもいかないのでボタンを付けることにした。朝五時頃に縫い始めた。こういうのは夜よりも朝にやるのが良いと思う。

　ラジオを聞きながら縫っていると楽しくなってしまい、緩んでいるボタンも緩んでいないボタンもハサミでわざわざ糸を切り、次々ボタンを付けた。裏側を見ると玉結びも玉止めも不格好に大きくて、あんまり綺麗とは言えなかった。でも、糸を二本取りにした上に執拗にぐるぐる巻きつけたのでかなり頑丈に取り付けることができた。良かった。