読書梅茶

 先日、坂口安吾『桜の森の満開の下』を読んだ。初の坂口安吾。

 冒頭の一文が最高にスカッとするので早くも満足した心持ちで読み進めていくと、すぐに雲行きの怪しさに気づき、先に進むべきか後戻りすべきか困惑しているうちに、結局ぐいぐい引き込まれてしまった。面白かった。粗野である意味純朴な山賊と、傲慢で物怖じしない女。描写の凄惨さには怯えさせられたが、だからこそ最後が美しく映ったのかもしれない。

 冒頭が一番好きだけど、今読み返していて惹かれたのは『ひそひそと花が降ります。それだけのことです。』という最後の方の語り。序盤~中盤にかけての獰猛さがフェードアウトしていって、男の心も景色も静謐に沈んでいく感じが良い。他作品も読みたくなった。

 あとは漫画。

 志村貴子『おとなになっても』八巻を読んだ。また抉られた。志村先生の作品を読むと、記憶の底に封じていたかさぶたが剥がれるような錯覚に陥る。痛いんだけど、思わず指先で剥いて出血する、あの感じ。

 夫と離婚しました、彼女と同棲開始しました、ハッピー!で終わらないのがとても良かった。群像劇の天才だなとつくづく思わされる。と同時に、誰の人生にも必ずストーリーがあるのだと噛み締めることになった。登場人物の全員が完璧な幸福を手に入れられなくとも、どこかに妥協点を見つけられるといいなと思う。




 メッセージから「今夢中になっているものは?」というご質問を頂戴しました。ありがとうございます。梅干しを緑茶(もしくは玄米茶)に入れて飲む、にハマっています。梅茶と呼ぶことをたった今知りました。冬になると喉がイガイガしがち、ということもあり、このところ毎日朝と夜に飲んでいます。子どもの頃からよく飲んでいたけれど、ずっと飲み続けていると飽きるのでご無沙汰でした。

 寝起きに喉が痛むのがそろそろ嫌になって加湿器も導入した。昨日、出力最大にして眠ったら、床もベッドもびしょ濡れになっていて驚いた。今夜は最小パワーで眠ります。