心躍り

 一昨日の夜、オードリーのオールナイトニッポンin東京ドームを配信で視聴した。もうどこで笑ったのか忘れてしまったけれど、いくつかの場面で笑った。そんな三時間半だった。何故自分がオードリーを好きなのか、全然分からないなと思った。冷静に考えると好意とは違う気がする。けれど何故かラジオを聞いているし、その流れで何故かイベントを視聴した。結果的に楽しかったから良かった。


 九段理江氏の『東京都同情塔』を読んだ。上司が「建築家が主人公の小説。面白かった」とざっくり評していたため、てっきり職業小説かと思いきや、違った。言葉への愛と疑問がみちみちに詰まった、文字で書かれた小説だった。登場人物の台詞も音ではなく文字で記されていた。過剰とも言える言葉へのこだわり方、徹底っぷりが良かった。一人称の視点変更も良かった。もっと「私」の言葉を読みたかったタイミングでちょうど「僕」に切り替わったから、この作品が好きだと思った。

 緻密で堅牢な文章表現もさることながら、物語もシンプルに面白かった。建築家の牧名さんの姿と声が途中から女優の吉田羊さんで再生されて、そのハマり方に胸躍った。とても魅力的だった、牧名さん。

 この作品は、多様化と生成AIの過渡期であろう現代に必要なのだと思う。芥川賞受賞にも大いに納得。上半期の『ハンチバック』とはまた異なる苛烈さがあったし、また異なる時代性も感じた。多様性って何だろう。差別ってどこから始まるんだろう。そんなことを考えたし、考えたいと思った。

 わくわくしながらページを捲れることって全然当たり前じゃなくて、それこそ芥川賞は166~168回辺りは全然読めていない。各新人賞受賞作も、読み始めてみたもののやっぱり通読できないという作品は、結構ある。ネットで絶賛されている作品の一ページ目から躓いてしまったときは、ちょっと情けなかった。好きであるはずの作家の作品でさえ読めないこともあるので、そのときの環境や体調にもよるのかもしれない。もしくは本当に自分の好きなジャンルにしか興味が向かないから、なのか。むむむ!


 今日は一日中横たわっていた。本当に良くない。自己嫌悪。

 今、お風呂が溜まった。入浴剤は林檎の香りを選んだ。お風呂から上がったら少しでも良いからストレッチをして、少しでも良いから推敲を進めて、麦茶を飲んで、眠る。