2023年4月23日

 あまりにも声を出さずに一日を過ごしたから、自分を驚かすべく唐突に大声で歌う、ということを何度か繰り返した。夜のぬるくなった浴槽で。

 自分で自分を驚かすなんて到底無理だと思われたが、決してそんなことはなく、きちんと新鮮に驚くことができた。「こんなに大きな声がまだ出せたのか」と、自分の可能性に気づけた。


 今年に入ってからというもの、情緒不安定が続いている。先週は特に駄目だった。体調が芳しくなく、たった一時間働いただけで早退した日もあった。 

 今日は結構調子が良かった。朝五時半にご飯を食べ、二度寝するか迷いつつベッドに戻り、kindleでエッセイを読んだ。睡眠時間が自分比で短かったから少し眠たかったけど、やっぱり二度寝はやめて起き上がった。気合いを入れて布団を干し、散歩がてらにカフェに行き、紅茶を飲みながら遊びの原稿を進めた。店内では客たちが競馬とプロレスの話で終始盛り上がっていた。人の気配を感じられて何だか良かった。

 でもそこでスイッチが切れてしまった。お昼過ぎから夜までずっとベッドにいた。調子が良くても、命を落とした人たちの存在が幾度となく頭に過ぎるのは止められない。誰も彼も直接会ったことのない人たちばかりなのに、残されたアカウントの投稿や作品に触れては喪失感で動けなくなる。現実だけでなく、フィクションの登場人物の死も引きずってしまうようになった。心底変わってあげたいと、そんなことできもしないのに思う。