先週末、温泉宿へ行ってきた。想定よりも古びた建物に新鮮に驚きながら部屋に入ると、歩くごとに畳が沈み込む感覚があり、これまた驚いた。何もかもが古かったけれど、でもとても綺麗だった。こういうとき、清掃の仕事をしている人はすごいなと感嘆する。私なら絶対にできない。今回もたった一泊だったにも関わらず荷物をあちこちに散乱させ、案の定チェックアウト直前までドタバタしてしまった。

 温泉は宿のサイズから想像できる通り、こじんまりしていた。温度が高めで少しとろみがあって、硫黄の匂いがした。おかげで心なしか肌がつるつるになった気がしたし、備え付けのシャンプーやトリートメントで髪も滑らかになった。部屋に戻り、ヒロアカのアニメを観た。心待ちにしていたエピソードだったのでどきどきした。原作にはないオリジナルのカットや声優さんたちの演技が素晴らしく、感極まった。呼吸が浅くなるエンデヴァーにつられてこちらも息を詰めて観ていたので、疲弊して三時間ほど眠ってしまった。

 あとは原稿を進めたり読みかけの本を読んだりした。温泉には結局のところ計三回浸かりに行った。朝食が美味しかった。うちの母が作ったみたいな、バターが使われていない粗めのスクランブルエッグが何だか良かった。和室は祖母の家を連想して落ち着くような落ち着かないような心持ちになったし、全体的にちょっぴりノスタルジックな宿だった。宿というのは往々にしてそういうものなのかもしれないけれど。

 テーブルに置いてあった激ムズなパズル以外は、満足な旅だった。

 ちなみにその激ムズなパズルはThe-Tというもので、四つの木製のピースを組み立てて色々な形を作ってみましょう、というもの。まず『T』が一向に作れなかったので早期ギブ。すぐにネットでカンニングした。私は弱い……。リベンジを果たすためにも、また絶対に行こうと決めた。