散るな

 今年の桜も終わってしまった。
 本当はこの四月から、通信制の大学で学ぶつもりだった。一度も学校に通う必要のない、入学から卒業に至る全てがオンラインで完結可能な大学を絞り込んで選んだ。資料請求を経てオンライン説明会に参加した。母校に卒業証明書を取り寄せた。ところがいざ入学手続きを進めようという段階で、急に怖気づいてしまった。理由としては、課題のレポートを作成するには様々な取材をする必要があったこと、説明会で語る先生の言葉たちに資料を読んでいたときと比べてあまり惹かれなかったこと、日々の時間を上手く使いこなせる自信がなかったこと、よって四年間で卒業するのは難しそうだったこと……など。でもどれもただの弁明に過ぎなかった。今は気になる資格・検定にどんどん挑戦していきたいなと思っている。

 せいひがいに遭った人の心境を読んだ。せいひがい/せいぼうりょくの字面がもう駄目で、これまでこういったたぐいの文章は回避し続けてきたけれど、沢山の人が「読むべき」と書いていたし、何よりも大切な友人たちがシェアしていたから、意を決して読んだ。案の定痛くなった上に途方に暮れもした。身近な人にそういうことが起こったら、不安や恐怖をなるだけ排除できるように寄り添いたいし、建設的解決のために全力で協力したい、とは思うけれど、本当にそれが救いとなるかなんて分からない。もしも自分がぼうりょくを受けた場合についても、考えたくなかったけれど考えた。結果、きっと冷静ではいられないだろうなと薄暗い気持ちに陥ってしまった。事件直後は証拠を残しておくためにシャワーを浴びてはいけないとか、他者に打ち明けた後に更に仔細な説明を求められるとか、そういう一連の流れを想像すると、泣き寝入り一択しかないなと思った。一刻も早く記憶を捨て去りたくなるだろうから。どんなに辛くても怖くても声を上げられる人は本当に立派だと思う。もちろん、誰にも言えなくてそれでも今を懸命に生きている人もとても立派。
 誰だって、他者によって大切なものが奪われたり自身の価値が貶められたりしてはならないし、全員が安心して暮らせる世界に一刻も早く生まれ変わってほしいなと、中学生の頃に書いた作文と同じ結論に辿り着いた。やっぱりラブアンドピースがいい。